どうやって本を作ろう
1 みとり図(目次)を描く
これから、2023年に木立の文庫さんから出していただく、私の本の制作過程をライブ配信します。
一回目は、本の構成の作り方。目次を作り込んでいくことです。
本は一冊の「建築物」。家屋のようなもの。まず“設計図”をしっかりと描く必要があります。各章が「柱」の数。一本一本の柱の場所を定め、仮の名前を与えていきます。その下にセクションを「横板」のように張り巡らせていきます。
私の“設計図”(見取り図)を少しだけお見せしましょう。
ピンク色のマーカーは、一冊の本を縦断して出てくるライト・モチーフ。青色マーカーは、各章の軸となる具体的なエピソード。赤い文字は、エピソードを総括する抽象的な理論(各章をまとめる理論的な用語)です。
手書きの文字は、毎晩思いついたものを書き込みます。茶色のマーカーは、それを“設計図”に書き込んだものの本章に取り込めるがどうか、まだ未決定なもの。このようにして、“設計図”に必要なものを取り込みつつ不要なものを取り除く作業を、毎日繰り返していきます。
これができれば海を航行する海図が出来たようなものです。必ずや、一冊の本を、見事、書き切ることができるでしょう。
―― 磯前 順一 May 28, 2022
磯前順一(いそまえ・じゅんいち)
1961年、水戸生まれ(いまは水戸と京都を往ったり来たり)。1991年、東京大学大学院博士課程(宗教学)中退。東京大学文学部助手、日本女子大学助教授を経て、2015年より、国際日本文化研究センター研究部教授。文学博士。
著書は『土偶と仮面――縄文社会の宗教構造』〔1994年〕以来、多数。近著に『ザ・タイガース――世界はボクらを待っていた』〔2013年〕、『死者たちのざわめき――被災地信仰論』〔2015年〕、『昭和・平成精神史――「終わらない戦後」と「幸せな日本人」』〔2019年〕など。