精神療法でわたしは変わった
苦しみを話さずに心が軽くなった
著者|増井 武士
¥1,540
- ISBN|978-4-909862-25-9
- 初版発行|2022年08月30日
- 増刷情報|3rd reprint 2023.6
- 寄稿|神田橋 條治 推薦文(刊行に寄せて)
- 造本|四六変型判並製/たて組み/2色刷
- ページ数|152
- 重さ|200
- 心理
- 心理よみもの/当事者
小さ子社/リトルズとの共同Webショップへ移動します
ためし読み
試し読みはこちら
精妙な“リアル”フィクション
クライエントの心に治療者はどう映っているか?
内容紹介
精神療法の本はふつう、カウンセラーの目に映ったクライエントが描かれます。ところがこの本では、クライエントの目に映ったカウンセラーが描かれているのです。
その“主客転倒”の発想だけでも稀有な本書ですが、加えて、ここで紹介されるカウンセリングは、「言葉」に頼らない手法なのです。それがクライエントの「体感」実況中継で語られます。
――ひとりの女性がしぼり出す“心の声”をタテ糸に、出会った精神療法家との“心の置きどころ”さがしをヨコ糸に、紡がれる“苦しみ”変容の綾。そして精神療法のツボ。
著者あとがきより
あるとき、「患者さんの目から見た面接というのは、どんなものだろうか」という発想が、衝撃的に浮かんだのです。その結果、生の面接のありようや患者さんの変わりよう、その時どきの気持を、患者さん自身の言葉で伝えることが、もっとも良い方法だと考えました。
患者さんの実感と事実により近いものを再現するために、数限りない面接の録音テープのなかから、当人のものを探し出したり、患者さんの気持を改めて確認するなど、あらゆる努力をしました。
著者紹介
増井武士(ますい・たけし)
1945年生まれ。九州大学大学院博士課程修了。
同大学教育学部助手を経て、産業医科大学医学部医学心理学教室准教授。教育学博士(九州大学)。同大学病院精神・神経科および産業医実務研修センターを併任。
故・河合隼雄先生を理事長として、日本心理臨床学会常任理事、同学会倫理委員長、編集委員などを歴任。また、日本臨床心理士会全国区代議員などを務める。
産業医科大学退職後、九州産業大学国際文化学部教授を経て、現在、東亜大学大学院客員教授。
著書に『治療的面接への探求』〔人文書院〕、『迷う心の「整理学」』〔講談社現代新書〕、『不登校児から見た世界』〔有斐閣〕、『来談者のための治療的面接とは』〔遠見書房〕、『治療的面接の工夫と手順』池見陽との共著〔創元社〕などがある。
もくじ
○煩悶と訴え
きっかけ
おまえの教育が悪い
煩わしい問い合わせ
失望だらけのクリニック
○言葉になることならないこと
悩みを言葉にしない
出会い
秘密の入れ物と置き場
自分からそっと抜け出る
問題を適切なところに置いてみる
疑問と問いかけ
もうすこし尋ねてみる
○精神療法でわたしは変わった
求める道を知るために
深いところでの願い
怒りへの接し方
こころのピンポン
気楽ということ
あの世から見たこの世
平均値の道で立ち停まって
話しかけてみた
エピローグ
あとがき
刊行に寄せて 神田橋條治
図書設計・デザイン
中島佳那子
デザインの特徴
【そっとsoftlyこだちの】プチシリーズの第1弾として、入念に造本設計の打合せを重ねた一冊。
判型は四六判正寸(タテ188mm×ヨコ128mm)のタテ寸法を削った「正方形」に近い変型。コンパクトで「やさしい」印象。
カバーのベース・カラーと帯(幅広)の色のコントラストで、くっきりとした表情を。そして、書店さんの棚や読者皆様の書斎に並べた際の「背」のカラー・バリエーションで「シリーズ」感を演出。
最大の「推し」の意匠は、カバーのワンポイント意匠に【半透明箔】の「ひと押し」! カバー印刷後のマットニス加工、その上からドイツ製の箔が押されて、細かいドットやラインが角度に拠って輝く趣向。