レクチュア こころを使う

日常臨床のための逆転移入門

著者|祖父江 典人

¥2,970

  • ISBN|978-4-909862-24-2
  • 初版発行|2022年06月20日
  • 造本|A5変型(方形)判並製
  • ページ数|240
  • 重さ|330
  • 心理
  • 心理療法/精神分析

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内容紹介

こころの援助者も、こころをもった人間なので、相手に対してネガティブな気持や、ポジティブすぎる気持も抱いたりします。そうした“生きたこころ”を基本としていないならば、援助者のこころはバーンアウトしかねませんし“死んだ援助”にもなりかねません。ただし、生きたこころは取扱注意の“生もの”なので、それを《逆転移》として認識し、クライエントの益に供する営みが必要とされるのです。――本書では、対人援助職の誰もが扱いに戸惑う「みずからのこころ」の使い方を、5つの自験例をめぐって提案します。

著者からの一言

私は今回、サポーティブな関わりの、その先の境域、すなわち、人と人が関わる本質を通しての「自己を知る」境域に、歩を進めたくなりました。
そのためには、“こころを使う“こととしての《逆転移》のテーマが、召喚される必要があったのです。

著者からのもう一言

援助者とて、こころをもった人間です。ですから、ネガティブな気持ももてば、逆にポジティブすぎる気持も抱いたりもします。
そうした“生きたこころ”を基本としていないならば、援助者のこころはバーンアウトしかねませんし、死んだ援助にもなりかねません。
ただし、生きたこころは、取扱注意の“生もの”ですので、きちんと《逆転移》として認識し、クライエントの益に供する営みが必要とされるのです。

著者からのさらに一言

お伝えしたかったのは、「逆転移の活かし方とは、それを通して患者の理解に供するばかりでなく、その理解が彼らのこの世での生き方に、いかに寄与しうるか」である、という点です。
……“こころの使い方”の射程は広くなっています。……いずれにせよ、私たちのこころは、「禍根群」の病理的世界の理解とともに、ささやかながらも、この世での“棲み処”を見出すためにも使われたいものだと思うのです。

著者紹介

祖父江 典人 (そぶえ・のりひと)
1957年、愛知県に生まれる。

東京都立大学(現:首都大学東京)人文学部心理学科卒業後、名古屋大学附属病院精神神経科教室にて2 年間、心理研修生となる。その後、国立療養所(現:国立病院機構)東尾張病院に2年間、厚生連安城更生病院に18年間勤務する。

その後、大学教員に転じ、愛知県立大学福祉学部に10年、愛知教育大学大学院教育学研究科に9年、勤める。

現在は独立し、名古屋心理療法オフィスを主宰。パーソナリティ障害やASDはじめ、今日の適応困難な自我脆弱群のセラピーに精神分析をいかに応用するか、という課題のもとに、「日常臨床」を専門とする。

もくじ

序 章 ことのはじまり
ケースA 耐え難いうんざり感――自閉スペクトラム症の成人女性
ケースB 言うわけにはいかない異様さ――不登校の思春期男子
ケースC 可憐な少女のもたらす苛立ち感――摂食障害の青年期女子
ケースD どうしようもない薄幸さ――買い物依存の主婦
ケースE 気圧される佇まい――抑うつ状態の青年実業家

○プロローグ

●第I部 逆転移とは何か――総論
第一章 逆転移論の始まり――克服されるべきものとして  
第二章 コペルニクス的転換――無意識を探索する道具として
第三章 グループにおける発見――逆転移の臨床的意義  
第四章 セラピストの基本姿勢――正常な逆転移
第五章 その後の逆転移論の流れ――認識的活用/表出的使用  

●第II部 逆転移を使う実際――各論
第一章 こころを使う その壱――日本における多様な〈逆転移〉観  
第二章 こころを使う その弐――諸外国のクラシカルな〈逆転移〉観をたどって
第三章 こころを使う その参――諸外国のより新しい〈逆転移〉観の展開

終 章 ことの顛末――臨床素材の行く末
ケースA 他者性の存在しない世界――分離を許されぬ怒りの逆転移
ケースB 迫害的相貌の世界――怖れおののいた逆転移  
ケースC 可憐さの裏に潜むマゾヒズム――苛立ち焦らされた逆転移
ケースD 隠された自己愛――無力さとあっけにとられた逆転移
ケースE 子宮内回帰願望という死の本能――恥のうわ塗りの逆転移

○エピローグ

図書設計・デザイン

上野かおる

デザインの特徴

一見(写真で見ると)モノトーンで地味な印象もあるが、幾重にも「ひねり」が折り込まれた造本。

まずもって、変則判型がA5判と四六判の特性を表現している(仕上寸法のタテが四六の188mm/ヨコがA5の148)。
すなわち、A5判の「専門書」感と四六判の「よみもの」感をともに体現しようという狙い。

次に、波形にカットされたカバーで巻かれた、むきだしの表紙が印刷ではなく「紙そのものの色」で強い存在感を出している。
その表紙の文字は「白箔押し」でクラシカルでシックな調子、対照的に波形カバーはベルベットPP加工によって現代的でポップな肌触り。

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書評