たましいの心理臨床

こころの水脈をたどって

監修者|岡田 康伸

寄稿|瀧口 俊子・藤原 勝紀

¥3,960

  • ISBN|978-4-909862-14-3
  • 初版発行|2020年09月30日
  • 増刷情報|2nd reprint: 2020.10
  • 編者|菅 佐和子
  • 著者|小出 めぐみ・仲 淳・藤井 信太郎・井上 裕樹・森岡 理恵子・片本 恵利・周 直民・濱田 智崇・清水 亜紀子・名取 琢自
  • 造本|A5判上製/たて組み
  • ページ数|264
  • 重さ|470
  • 心理
  • 臨床心理学/ユング

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たましいの心理臨床
たましいの心理臨床

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こころの内で関係性を生き抜く

いろいろな問題が起こってきたとき、「セラピストである自分自身のどこが、そのような問題を起こさせているか」を考えることが大切である。

内容紹介

人はさまざまな場面で人に出会います。
友人との出会い、子どもと大人の出会い、別れの出会いもあるかもしれません。
こうした場で胸に手をあてると「こころ」がなにか呟いています。
そして出会いの呟きあいに耳を澄ますと、“たましい”の囁きが聞こえます。


――困難を前に立ちすくむ人に、どのように出えるか? 
このことを日々考えるのが《心理臨床》という営みです。
考えや感覚は別々でも、深いところで交わり重なるとき、“たましい”が響きます。
人との人との間をつなぐには、まず、こころの「水脈」を尋ねあてるところから……。

著者・出版社からの一言

本書は監修者:岡田康伸先生の長年の功績と喜寿を祝うかたちで、日ごろ研究会で集う若手や中堅の臨床家が、おのおの大事に温めている〈心理臨床〉の営みと思索を開陳したものです。

多様な実践から紡がれた論考から浮かびあがったのは、岡田先生の師:故河合隼雄先生の教えがいまも深い“水脈”として滔々と流れて、地表へ染み出て“人の出会い”を潤している、という隠れざる現実でした。

みずからが監修し、記念に寄せられた論考に逐一、コメントが付されるという希有なスタイルにも、じつはこの流派の切磋琢磨の歴史が刻まれています。深層の心を「影(シャドー)」の視点から読み込み「ファンタジー」の創造に立ち会う、岡田康伸の深い眼差しにあふれた本です。

著者紹介

岡田 康伸 (オカダ ヤスノブ) (監修)
岡田康伸(おかだ・やすのぶ)

1943年、京都市伏見区生まれ。
1967年、京都大学教育学部卒業。日々、体育会軟式庭球部活動に励むなか、1972年、京都大学大学院教育学研究科修了。教育学博士(京都大学)。

● 1972年~天理大学助教授、1976年~甲南大学助教授・教授を経て、1998年~京都大学大学院教育学研究科臨床教育学専攻心理臨床学講座教授、1999年~京都大学カウンセリングセンター長。2006年~京都文教大学人間学部教授。2008年~京都文教大学臨床心理学部長。現在:京都大学名誉教授。臨床心理士。

● 教育現場での“こころ”の問題に深く関わり、合宿研修会は20年間続く。かたや樋口和彦らとスタートしたファンタジーグループ研究会は40年間にわたる。

● 日本心理臨床学会事務局長、日本箱庭療法学会会長、日本国際箱庭療法士学会会長などを歴任。2019年まで国際箱庭療法学会副会長。

● 2002年に日本箱庭療法学会学会賞を受賞、2003年に第55回京都教育功労者として表彰。伏見の町並保存運動にも尽力。


編・著書に、次のもの他多数がある。
『箱庭療法の基礎』〔誠信書房,1984年〕、『現代青年心理学』共編〔培風館,1990年〕、『箱庭療法の展開』〔誠信書房,1993年〕、『ファンタジーグループ入門』共編〔創元社,2000年〕、『箱庭療法の現代的意義』『箱庭療法の本質と周辺』『イメージによるグループワークの実際』(現代のエスプリ別冊)編〔至文堂,2002/2007年〕、『子どもが育つ心理援助』監修〔新曜社,2002年〕ほか多数。

菅 佐和子 (スガ サワコ) (編著)
菅 佐和子(すが・さわこ)

1949年生まれ。京都大学大学院教育学研究科博士課程単位取得満期退学。教育学博士。

● 愛知医科大学精神科、愛知女子短期大学勤務を経て、2013年まで、京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻教授。2015年まで、関西看護医療大学教授、2019年まで、京都橘大学健康科学部心理学科教授。現在:京都大学名誉教授。深草YYOS研究所。臨床心理士。

● 精神科病院臨床をベースとして、思春期カウンセリング、不登校支援、職場のメンタルヘルス、看護カウンセリング教育などの実践に長年携わってきた。現在の関心は、学校・職場に共通する心理的ハラスメント、高齢期女性の生き方、猫と人間の心の交流、短歌による自己表現など。


編・著書に、次のようなものがある。
『思春期女性の心理療法』〔創元社,1988年〕、『事例にまなぶ不登校』編〔人文書院,1994年〕、『「永遠の少年」の娘たち』〔星和書店,1996年〕、『教師がとりくむ不登校』編著〔人文書院,1997年〕、『彼女がイジワルなのはなぜ?』編著〔とびら社,2002年〕、『職場のメンタルヘルス相談室』編著〔新曜社,2009年〕、『箱庭ものがたり』編著〔木立の文庫,2020年〕などがある。

瀧口 俊子 (タキグチ トシコ) (特別寄稿)
1940年生まれ。立教大学大学院文学研究科心理学専攻修了。

● 現在:放送大学名誉教授。スピリチュアルケア師(指導)、日本臨床心理士資格認定協会監事、日本遊戯療法学会理事(研修委員長)、日本スピリチュアルケア学会評議員(出版委員長)。臨床心理士。

● 心理臨床を病院臨床からスタートし、私設心理相談室などでの心理療法や遊戯療法・保育カウンセリング・スーパーヴィジョンなどに関与。現在の最大の関心は「たましいの働き」。

藤原 勝紀 (フジワラ カツノリ) (特別寄稿)
1944年生まれ。九州大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学、博士(教育心理学)。
● 九州大学教授、京都大学教授、放送大学京都学習センター所長などを歴任。現在:京都大学名誉教授。日本心理臨床学会理事長、日本臨床心理士資格認定協会専務理事、京都市教育相談センター常任顧問。臨床心理士。

● 幅広い視野からの心理臨床実践と養成教育ならびに臨床イメージに関する実践研究を通じて、臨床現場からの心理臨床学の構築を継続して目指す。

小出 めぐみ (コイデ メグミ) (著/文)
第1章 担当
〇京都教育大学大学院教育学研究科学校教育専攻教育臨床心理学分野修士課程修了。
〇京都橘大学心理臨床センター非常勤相談員、中村メンタルクリニック非常勤心理士。臨床心理士。

仲 淳 (ナカ アツシ) (著/文)
第2章 担当
〇京都大学大学院教育学研究科博士後期課程単位取得認定退学。
〇天理大学人間学部総合教育研究センター教授。京都市「こどもパトナ」カウンセラー。臨床心理士/公認心理師。

藤井 信太郎 (フジイ シンタロウ) (著/文)
第3章 担当
〇京都文教大学大学院臨床心理学研究科臨床心理学専攻博士前期課程修了。
〇三重県スクールカウンセラー、三菱マテリアル(株)四日市工場(非常勤)。臨床心理士。

井上 裕樹 (イノウエ ヒロキ) (著/文)
第4章 担当
〇龍谷大学文学研究科教育学専攻教育心理学領域修士課程修了。
〇立命館大学人間科学研究科臨床実習教育担当嘱託講師。臨床心理士。

森岡 理恵子 (モリオカ リエコ) (著/文)
第5章 担当
〇京都大学大学院教育学研究科教育方法学専攻博士後期課程学修認定退学。
〇京都市教育委員会スクールカウンセラー。臨床心理士/公認心理師。

片本 恵利 (カタモト エリ) (著/文)
第6章 担当
〇京都大学大学院教育学研究科博士後期課程単位取得認定退学。
〇沖縄国際大学総合文化学部人間福祉学科教授。臨床心理士。

周 直民 (シュウ ナオヒト) (著/文)
第7章 担当
〇京都文教大学大学院臨床心理学研究科博士前期課程修了。
〇京都橘大学心理臨床センター専門業務職専任相談員、カウンセリングルームSCoR代表。臨床心理士。

濱田 智崇 (ハマダ トモタカ) (著/文)
第8章 担当
〇甲南大学大学院人間科学研究科博士後期課程単位取得退学。
〇京都橘大学健康科学部心理学科准教授、臨床心理士/公認心理師。

清水 亜紀子 (シミズ アキコ) (著/文)
第9章 担当
〇京都大学大学院教育学研究科臨床教育学専攻博士後期課程単位取得認定退学。博士号(教育学)。
〇京都文教大学臨床心理学部講師。臨床心理士/公認心理師。

名取 琢自 (ナトリ タクジ) (著/文)
第10章 担当
〇京都大学大学院教育学研究科臨床教育学専攻博士課程学修認定退学。
〇京都文教大学臨床心理学研究科教授。国際箱庭療法学会(ISST)会長。国際箱庭療法学会認定箱庭療法士(ティーチングメンバー)、日本臨床心理身体運動学会認定資格・認定スポーツカウンセラー1級。臨床心理士/公認心理師。

上記内容は本書刊行時のものです。

もくじ

特別寄稿: 藤原勝紀

テスターとして、カウンセラーとして  小出めぐみ
「わたしの心」が目覚めるとき  仲 淳
「文化の病」の視点からみた現在の不登校に関する一考察  藤井信太郎
児童養護施設の心理的援助についての一考察  井上裕樹
自閉的な課題を主訴とした男児の事例  森岡理恵子

特別寄稿: 瀧口俊子

沖縄の風土に根ざした心理臨床の可能性  片本恵利
「禊」と個性化の過程  周 直民
男性のジェンダーと「たましい」  濱田智崇
心理療法を支える器としてのイメージの機能  清水亜紀子
箱庭砂箱の「青」をめぐって  名取琢自

私の「教育分析家」は「猫」だった  菅 佐和子

図書設計・デザイン

中島佳那子

デザインの特徴

カバーは「3色」に見えますが、じつはミドリとアカの2色。
本書収録の或るフレーズ「アカの上にミドリを塗ると茶色に見える」という現象を、
実際の印刷で再現して、アカとミドリの交わりで「3色目」の茶色を湧出させた、錬金術的なデザインです。

加えて「から箔」ホットスタンプで、地色が仄かに変化して「見えないながら存在する」“たましい”を表現しています。

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