マスクの下の小劇場
避密な時代のこころの秘密
著者|岡田暁宜
¥2,200
- ISBN|978-4-909862-41-9
- 初版発行|2024年11月10日
- 造本|四六変型(方形)判フランス装
- ページ数|160
- 重さ|240
- 心理
- 心理よみもの/精神分析
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「覆う」こころのpsychoanalysis
かけがえのない“三密”をもう一度――濃密な体験/親密な関係/秘密の世界
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内容紹介
コロナ状況で「マスク生活」が当たり前になる以前から、私たちは、心理的なマスク(接近や遭遇をさえぎる覆い)をつけて日常生活を送ってきました。その心性はコロナ収束後も、交差点での信号待ちに見られるような「避密」な行動に痕跡を残しています。どうやらそこには、目に見えない思いが蠢いているようです。――本書ではマスクの下の「秘密」のリアリティを描き、“社会のマスク”の謎を読者の皆さまと解いてゆきます。私たちの成熟に欠かせない「三密」――濃密な体験/親密な関係/秘密の世界――を取り戻すために!
著者・出版社から ひと言
私たちは、コロナ禍にあってマスク生活を始める以前から、心理的な意味でのマスクをつけて日常生活を送っているように思います。
既に述べたように、マスクには「顔」「覆う」「隠す」「守る」「見せる」といった要素がありますが、私たちはマスクをして、顔に象徴される何かを覆い隠しながら守っているのでしょうし、そのようなマスク生活を他人に見せているし、そのような他人のマスク生活を見て いるように思います。
私たちのマスクの下にはさまざまなドラマがあるように思います。これが、本書のタイトルが《マスクの下の小劇場》である所以です。
本書の副タイトル《避密な時代のこころの秘密》とは、密(密閉・密集・密接)を避けがちになった時代において、私たちはどのような“こころの秘密”を抱いているのだろうか? という問いを表しています。
私たちはコロナ生活を経て、オンラインでの交流が増えるとともに、対面で会う機会が求められる時代でもあります。つまり、「避密な時代」にあって私たちは、避け(遠のき)ながら密になる(近寄る)という矛盾や逆説を生きているのかもしれません。
著者紹介
1967年生まれ。名古屋市立大学大学院医学研究科修了、医学博士。
南山大学・名古屋工業大学・慶應義塾大学教授を経て、現在、名古屋大学大学院医学系研究科教授。
専門領域は精神分析/精神分析的精神療法、力動精神医学、大学メンタルヘルス、心身医学。
編著書に『精神分析と文化』〔岩崎学術出版社〕、共著書に『週一回サイコセラピー序説』〔創元社〕、『コロナと精神分析的臨床』〔木立の文庫〕、『寄り添うことのむずかしさ』〔木立の文庫〕がある。
もくじ
◆ PART 1
episode 1 こころのマスクを外す
Aさんのこと
episode 2 子どもの頃の思い出
Bさんのこと
episode 3 マスクをめぐる対人関係
Cさんのこと
episode 4 「隠す」マスクと「見せる」マスク
Dさんのこと
episode 5 マスク美女とマスク美男
Eさんのこと
episode 6 マスクを「する」ことと「とる」こと
Fさんのこと
episode 7 マスクと日本人
Gさんのこと
episode 8 「隠す」ことと「偽る」こと
Hさんのこと
episode 9 仮面としてのマスク
◆ PART 2
○ memories
コロナ時代のメモリー
○ society
こころのマスク社会
図書設計・デザイン
上野かおる
装画・イラスト
まきみち
デザインの特徴
まずもって目を惹くのが「表紙三方折」の“フランス装”、かつチリ(本文紙からハミ出た表紙の部分)が3mmと大きめなのがオシャレ。本文もミドリ色を基調とした二色刷。A~Hさん8人のエピソードおのおの扉に、内容を想わせる「テーブル」イラストを描くのは版画家: 槙倫子。装画の「ネコ」も随所に踊る。